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阿佐海岸鉄道を訪れたのは92年12月12日です。 今はなき高知行きのフェリーに乗り、午前中は高知市内で土電を撮影、 12時30分発の甲浦(かんのうら)行きバスに乗りました。 室戸岬をぐるっと廻る3時間20分の長いバス旅です。 奈半利までとはいえ、いまなら当然、土佐くろしお鉄道に乗りますが、当時は、まだ開業していませんでした。 土佐電気鉄道安芸線の名残を探す一方で、開業を待つ高架橋の列を眺めながら、 本当に完成する日が来るのだろうかと疑問に思っていました。 高知から遠ざかるに従って、バスの乗客は減る一方です。 おかげで一番前の眺めのよい席で缶ビールをちびちびやりながら一人悦に入っていたのですが、 その分需要がそれほどないのではと思わずにはおれませんでした。 室戸岬で小休止の後、甲浦へ、駅は海岸からちょっと離れた町はずれにあります。 ところがこの運転手さん。(阿佐海岸鉄道開業後、9ヶ月にもなるのに)この駅を廻るルートは、初めてらしいのです。 駅は高架で、それとわかりますが、 「こうまわったらいいのかな」と言う運転手さんに 「アッ。そこにバス停があります!」と言う私。嘘のような本当の話です。 そういえばこのバスの切符を買うとき、券売機で買えと言われたものの 甲浦駅前ゆきの3690円のボタンは無し。一悶着ありました。 降りた乗客はもちろん私だけ、駅の周りにも誰一人いませんでした。 バスから鉄道へと乗り換える発想自体ないのではと思うほどでした。 駅舎はさすがにできたてでキレイです。窓口もあり人がいるので、 切符を買い求めることにしたのですが、どう見ても普通のおばさんです。 「あの、切符を…」 「ハイハイ。ここの駅は第3セクターで、ボランティアでやってるんですよ。 切符もこうして婦人会が…。海部260円ね。」 というわけで委託の駅員さんのようです。 お菓子の缶をパカッとあけて、切符を切りはなし、スタンプを押して売ってくださいました。 もしも下車駅の海部駅で切符をいただけなかったら何も残らないので、 子供用の切符も買ったのですが、変な顔をされてしまいました。 上の切符がそうですが、宍喰駅の発行となっています。なぜか日付印はウラ面に押されています。 駅に滑り込んできたのは、JR四国のキハ40 2148。 残念でしたが仕方がない。これを逃すと後が大変です。 それ程に列車本数も少ないのです。ところが出発までに集まってきた乗客は、二人です。 当然、席はいくらでもあるのですが、全線通しで乗ってもしれています。 一番前のデッキで、進行方向を眺めながら阿佐海岸鉄道の乗り心地を楽しむことにしました。 海岸鉄道ということで海辺の景色を期待していたのですが、実際に乗ってみると、予想以上に内陸部に軌道がしかれており、 高架橋から海が見えたと思えば、すぐトンネルという繰り返しにがっかりしてしまいました。 思えばこの阿佐海岸鉄道のみならず、鉄道の新線というのはおしなべて眺めがよくないのです。 直線の線路が、いくつものトンネルを串刺しにしているのが、前から見ているとよく分かります。 これだけ自然の地形に逆らって路線を造っている以上、かなりの費用が投入されたに違いありません。 阿佐海岸鉄道の阿は阿波の阿。佐は土佐の佐。です。 その名の通り徳島県と高知県を結んでいるのですが、ここの場合それがどんな意味を持つというのでしょう。 昨今のローカル線は地元の高校生のためにあるようなもので、県境を越える列車は本数が少なく、 それでいてガラガラということがほとんどです。今回もその例に違わず二人の乗客しかいませんでした。 この鉄道の開通によって、どれだけの人がどのような形で恩恵を被ったことになるのでしょうか。
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