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J鉄局の珍車ギャラリー

JR西日本 103系3550番台

ギャラリー

「21世紀の103系」
JR西日本 103系3550番台

103系は 新造車3,447両のほか、
20両が72系から、
36両が101系からそれぞれ編入され、
総数は3,503両です。
62年製の試作車から、
筑肥線用の1500番台が製造された82年まで
20年という長い歳月、製作し続けられました。

JR東海、JR東日本、JR西日本の3社に
引き継がれたのは3,436両。
(事故廃車2両と105系改造車65両を除く
:3436+65+2=3503)
うちJR東海 所有分は2001年、
JR東日本 所有分は2009年に
形式消滅となっています。
ところがJR西日本は2004年に
103系をあらたにデビューさせました。

103系3550番台です。
うーむ、あなどりがたしJR西日本。

もっとも3550番台は78〜79年製の
モハ103+モハ102のMM'ユニッが種車です。
103系としては比較的新しい車両ではあります。
しかし、初期の103系は
89年には廃車が始まっているわけですから、
2004年にデビューした3550番台は、
30才にして初めて一軍のマウンドに立った
ピッチャーのようなものです。
どうしてこのような奇跡が起こせたのでしょう。

§1:3500番台と3550番台

2004年12月19日、加古川線全線電化に伴い、
単行の125系に加え、2両編成の電車も
8本が配置されることになりました。
103系 3550番台は、
播但線用に導入された103系3500番台と同様、
103系のMMユニットを再生した
ワンマン仕様であるということからも
3500番台を増備すればすむ話じゃないか…。
といいたいところですが
3550番台としてデビューしました。
外見上は貫通路が付いたことが
大きな違いといえますが、
加古川線での運行に
それが必須のものとは思えません

なぜでしょう。

3500番台は103系初の2両編成ということで
運転台付きのクモハ103形2500番台を活用して
9本(cM+Mc)ユニットを構成、
これを改造しました。
しかし、加古川線で増備するにあたって、
もうクモハ103形は底をついていました。
3500番台のデビュー、すなわち
播但線 姫路−寺前間の電化は1998年3月でしたから、
思えば5年の歳月が経っていたのですね。
そこで今回は、モハ103+モハ102のMM'ユニットを
種車にするしかなかったのです。
ここが番台区分した大きな理由です。
当然、
新たに双方運転台を設置しなければなりません。
ですから、わざわざ貫通路が設置したというより、
もともと付いていた…
というほうがいいかもしれません。加えて、
3500番台では
体質改善40N工事を改造時に施工したのに対し、
3550番台では
体質改善40N工事施工済の種車に改造を施した
というのも大きなポイントです。

§2 103系 究極のリニューアル

ここで「体質改善40N工事」と名付けられた
リニューアル工事についてお話しします。
車両の寿命は各社の規程などにより
決められているわけですが、
延命工事を実施することで、その間、
車両への投資を抑制することができます。
103系においても国鉄末期となる1982度から
「特別保全工事」
と呼ばれる延命工事が行なわれていました。

「リフレッシュ工事、車両更新工事」
という名でJR東日本やJR東海も
リニューアル工事は行われましたが、
最も徹底してやったのがJR西日本です。
内容によって、まず以下の4種に分かれます。

延命N
1972年までに製造された車両が対象。
製造から30年の使用を目指し
外板整備・機器の一部更新および内壁の張替。

延命NA
国鉄時代に特別保全工事を施工された車両が対象。
延命N工事と同様の工事を施工。
施工済部分は省略。

延命NB
1970年以前製造の初期車が対象。
延命N工事と同時にWAU102形搭載冷房改造
側窓を黒サッシへ交換。

延命N40
1973〜76年製の車両が対象。
(1972年までに製造された車両の一部にも施工)
製造から40年の使用を目指し、
 延命Nより徹底した内容の工事。

「内容によって、まず……」
と前述したのは、ほかでもありません。
1996年以降、「体質改善工事」
と名付けられたリニューアル工事は、
前述の延命工事は別の次元
ともいうべきものだからです。

「体質改善工事」は後継車両となる
207系並のアコモデーションを目指し、かつ
延命N40工事以上の徹底した延命を目的としました。
これは「体質改善40N」と呼ばれるので
「延命N40」とは区別しておかねばなりません。

さてJR西日本では
「体質改善40N」を施工するにあたって
先行試作ともいうべき編成を登場させています。

それがこの編成です。
103系 体質改善40N− 試作車−
Tc245+M387+M'543+M408+M'564+Tc264
森ノ宮電車区に配置され環状線で活躍を始めました。
はじめて大阪駅で彼女らの姿を見たとき、
「これが103系か?」と目を疑いました。

「体質改善40N」は103系老朽車のイメージを
払拭し保守性の向上をはかった
究極のリニューアルと申せましょう。

まず外観からして大きく違います。
張上屋根上の通風器はすべて撤去、
運行番号表示器・行先表示器・
そして前照灯は内側から支持されスッキリしました。
運転台窓は1枚に大型化、ドア窓も支持方法を変更、
そして側窓は下段固定・上段上昇×2に3分割、
バス窓風 逆T字サッシに交換しました。

車内に目を転じると
内壁・床の張替、座席クッションの
更新は言うに及ばず、
扇風機はラインデリアへ交換され、
むき出しだった蛍光灯には
カバーが取付られています。
冷房風道がラインフロー化されたため
多少天井は低くなっていますが、
スッキリした分広く感じられます。

これらのメニューで一新された3500番台は、
サイドにBANTAN103のロゴを掲げ、
新生播但線のイメージリーダーに
ふさわしい出で立ちであると感じました。

その流れを受けたのが103系3550番台です。
「体質改善40N」をして
これだけのイメージアップができたからこそ、
21世紀になってもなお、103系をして、
加古川線の新時代を築けたのです。

−鉄道車両写真集−
103系3500番台 播但線用 

103系3550番台 加古川線用

103系 体質改善40N− 試作車−

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