べるもんた(正式名称ベル・モンターニュ・エ・メール)は 北陸新幹線と接続する新高岡駅を起点に 城端線・氷見線を走る観光列車です。 2015年10月より運行を開始しました。 見ての通り新車ではありません。 キハ40形(キハ40 2027)を金沢総合車両所において 改造工事を行なった車両です。 車体塗色はダークグリーンとなり、 車体腰部・窓枠部分・前面下部のスカートには メタリックゴールドがあしらわれています。 また、貫通扉と側面腰部には、 ロゴマークが描かれぐっと高級感がでました。 車内には、沿線の伝統工芸品である「井波彫刻」が施された欄間や、 「高岡銅器」をイメージした吊り革などが目を引きます。 キハ40形の改造車とは思えない雰囲気です! そのなかでも注目すべきは、拡大された固定窓。 それはあたかも額縁のようです。 そう、「べるもんた」は車窓の景色を絵画として楽しむ 「走るギャラリー」がコンセプトとなっているのです。 氷見線で富山湾を至近距離で眺めることのできる車体の側窓は、 そのまま城端線では立山連峰を望むことができます。 そうです。 この車窓から「美しい山々と海」を望めることから、 フランス語の”Belles montagnes et mer” =「美しい山と海」を列車名としたのです。 さすがに長くて覚えにくいので、 愛称名を「べるもんた」としていますが、 この名前の由来だけは押さえておきたいところです。 というわけで、特等席は、海側を望む座席となるでしょう。 窓沿いにしつらえられたテーブルにむけて配置された カウンター席です。 反対側の山側には、中央部に2人掛けのクロスシートと 折り畳み式のテーブルを備えた 4人掛けのボックスシートが並んでいます。 負け惜しみかもしれませんが、 こちらから見た方が額縁越しになるので、 「走るギャラリー」を実感できます。 というわけでおわかりですね。 私、「べるもんた」に乗ってきました。 ちなみに、私が指定券を入手したのは前日の夜、 大船駅のみどりの窓口です。 キャンセル待ちでようやく空いた一席をゲットしました。 おもしろいことに「べるもんた」の車端部には ロングシートが配置されています。 最後の一席とはいえ、 私にあてがわれた席はロングシートではありません。 「べるもんた」は全席指定席ですが、 このロングシートは、飛び込みの乗客も受け入れる 余地があると言うことなのでしょう。 ちなみに、おしゃれなつり革まで設置されています。 それにしても、ロングシートにクロスシート。 加えて窓際には本物の飲食店のカウンターをおもわせる座席がずらり。 1台にこれほどのシートバリエーションを盛り込んだ車両は 他には見られません。 「べるもんた」の楽しみは景色だけではありません。 車内サービスです。 こちらの写真は「ぷち富山湾鮨セット」。*撮影 Dr K ![]() なんと「べるもんた」の車内で寿司職人が握ってくれたものです。 寿司のネタが並んだ冷蔵ケースまであります。 かつてのビュフェ 「サハシ153」を思い出しました。 しっかりした料理を提供するのに「キシ」ではないのが残念です。 また「べるもんた」沿線の造り酒屋で醸された 地酒の「飲み比べセット」もあります。 富山県は冷涼な気候と良質な水 そして高品質の酒米を産する酒どころでもあるのです。 ほろ酔い気分で車窓に目をやると、 沿線の方々が集まって列車に手を振ってくれています。 暗い車内の奥の方から手を振っても気づいてはもらえないかな。 と思いながらも、手を振りました。 人々とのふれあいと言うほどのものでもないかもしれません。 でも、無条件に心地良い思い出です。 乗客である私にとっては、もちろん初めて …そう一期一会なのです。 ![]() そんな光景を気づかせてくれたのが、 マイク片手にガイドをされていた地元の女性でした。 運行日には毎回(二往復すなわち4回)、 やって下さっているのだそうです。 皆さん、よく続くなあと思いました。 「べるもんた」は1両編成です。 JR西日本の観光列車としてはコンパクトで、 定員はたった39名です。これだけのおもてなしをするのだから、 もう一両増結して、 もっと定員を増やしても良いのになあと思っていた時のことです。 先ほどのガイドさんが、民謡を歌ってくださいました。 富山県民謡の「こきりこ節」です。 「こきりこ節」は、富山県の五箇山地方に伝わる古謡です。 意味こそ わかりませんでしたが、歌詞さえあれば …私でも歌える全国的にも有名な民謡です。 「こきりこ」とは放下師といわれる大道芸人が使用した竹の楽器で、 竹2本を指で回し打ち鳴らすものだそうです。 「こきりこの竹は七寸五分じゃ 長いは袖のかなかいじゃ」 という歌詞は、 「七寸五分(約23cm)以上長いと かなかい (引っ掛かるの意)=邪魔になる。」 と、ものには適当な長さというものがあるのだ と言うことを伝えています。 そうか。思えば、1両編成だから ガイドさんの表情を見ながらお話も聞けるし、 2両編成だったらお寿司が間に合わないかもしれない。 高岡駅―氷見駅の距離は16.5キロ。所要時間は約30分。 高岡駅―城端駅の距離は29.9キロ。所要時間は約50分ですが、 「べるもんた」の起点は城端線の新高岡です。 氷見線も、城端線も 約40分あまり、 もうちょっと乗っていたいくらいの ちょうど良い小旅行なんだ…。 「べるもんた」に乗って、 沿線の人々の熱い思いに触れて、 そんなことを考えながら帰途につきました。 参考文献(鉄道ピクトリアル 2016年10月号 #923, 「鉄道車両年鑑」P76〜77) |
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