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J鉄局の珍車ギャラリー

関東鉄道 キハ532形

ギャラリー

「関東鉄道18年ぶりの新車」
  関東鉄道 キハ532形

私鉄の車両というものは、
そもそも自社線内で運行するために作られたものです。
しかし今や、他社との相互乗り入れは当たり前。
横浜から西武電車に乗り所沢へ、
三宮から近鉄電車に乗って奈良へ…
などということもできるようになりました。
ところが今もなお自社線内のそれも4.5kmのみ
という短い区間でしか運行しない車両があります。
関東鉄道 竜が崎線のキハ532形とキハ2000形です。

わずか数キロと運転区間が限定されている車両というのはJR.にもありました。
JR.東日本の南武線南武支線の205系1000番台や、
JR.西日本の和田岬線のキクハ35形などがそうです。
いずれも、
独自の仕様をもつ ここでしか出会えない珍車たちです。
しかし彼等は改造車です。
かつては長距離運行していたのです。
製造段階から運行区間が数キロと
限られている車両となると
小規模のローカル私鉄ということになるでしょう。
ところが70年代以降、
体力のない地方鉄道は新車を購入できず、
もっぱら中古車を導入せざるを得なくなっていました。
対して、竜が崎線のキハ532形は1981年製の新車です。
関東鉄道の傘下にあることで、
導入できたということでしょうか。
ここで、
竜が崎線の歴史を振り返ってみたいと思います。

*竜ヶ崎線は関東鉄道最古となる路線です。
1900年に「竜崎鉄道」として竜が崎-佐貫間が開業しました。
その際、
日本鉄道は乗り換え駅として佐貫駅を開設しています。
(JR東日本はこれを2020年3月 龍ケ崎市駅に改称)
1898年の会社設立時は竜崎馬車鉄道だった
ということをあわせて考えても
常磐線に乗り継ぐことが前提となる
小規模の鉄道会社だったということですね。
1944年、戦時統合により鹿島参宮鉄道の路線となり、
1965年、常総筑波鉄道との合併で
関東鉄道の路線となりました。

さて、竜が崎線では、
1971年8月に日本初となる
ワンマン運転を開始しています。
実施直前にあたる1970年には、江若鉄道から
キハ520形:キハ521+キハ522、
キハ530形:キハ531を導入しました。
これらは江若鉄道時代に
エンジンを180PSのDMH17系に換装した
総括制御対応の18 - 19m級大型車です。

例に漏れず、
竜が崎線でも中古車を導入していたわけです。
関東鉄道を構成することとなる
当時の他路線を見まわしみても、
それまで新車の導入実績はなく、
新車は昭和38年当時の常総筑波鉄道が導入した
キハ900形が最後でした。
ですから、キハ532は広義の関東鉄道にあっても
18年ぶりの新車ということになります。

しかし常総線では、
1975〜76年に国鉄キハ17系の足回りを流用し、
老朽化した車体を新たな車体と載せ替えた
キハ310形を8両導入しています。
竜が崎線でもその5年前に
前述の もと江若鉄道の3両に対し車体を新造。
一気に体質改善を進めているのです。
ともにエンジンはDMH17系ですが、
見た目は新車です。

そして1981年。キハ532の登場です。
新車とは申し上げましたが、
実は国鉄から払い下げられた
キハ20系の機器を流用しています。
キハ531に準じた車体と組み合わせて
1981年12月製作されました。
違いはといえば常総線の車両は、
ユニット車と呼ばれる2両固定編成であるのに対し、
キハ532はワンマン運転対応の
両運転台付3扉ロングシート車で単行仕様です.
ですから、側面のドアの形状や窓の配置も違います。

でも、新車とはいいながら、エンジンはDMH17系です。
80年代ともなれば、
新車は冷房化されているのが当たり前ですが、
当時、旧型車のパワーユニットでは
冷房器は搭載できませんでした。
これも常総線のキハ310形と同じです。
そう、
常総線のキハ310形と実質変わるところはありません。
つまり書類上のことでしかないのです。

他の車両にはない大きな違いがあります。
右側運転台です。
原則、日本の鉄道車両は左側運転台です。
しかし、キハ532の場合、
竜ヶ崎側の運転台は右側に設置されているのです。
竜ヶ崎線では
ホームが全て同じ側に設置されているためです。
これは大きな仕様変更です。
新車扱いしなければならない理由は、
これだと考えているのですがいかがでしょう。

ちなみに、竜が崎線では
片側の扉は一切使用しないわけですから、
思い切って無しにする
こともできたような気もしますが、
さすがに両側面に設置されています。

1997年に竜ヶ崎線用として
キハ2000形が2両新造され、
江若鉄道由来のキハ520・530形は
板台枠の旧式の台車だったせいで
代替されましたが、
キハ532については、
DT22系のウイングばね台車だったということもあって、
そのまま残されました。
キハ2000形とは機器構成が全く異なりますが、
総括制御は可能で
朝夕のラッシュ時には併結して運用されました。
キハ532は、こうなるであろう
という先を見通して製作されたと思われます。
ここんところも
新形式とした理由ではないでしょうか。

長らく非冷房車のままでしたが、
2002年に冷房化改造工事が実施されました。
そして2013年にはエンジンを
キハ2000形に合わせDMF13-HZに換装しています。
クラシックなスタイルに見えますが、
しっかりリニューアルしています。
まだしばらくは
活躍を見ることができるのではないでしょうか。
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関東鉄道 竜ヶ崎線   
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