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J鉄局TOP>珍車ギャラリー>伊予鉄道 坊っちゃん列車用 1号機関車 D1形ディーゼル機関車
アイデア満載−坊っちゃん列車−2001年10月。21世紀を迎えた松山市のメインストリートに「マッチ箱のような汽車」が登場しました。「坊っちゃん列車」です。 「坊っちゃん」とは言うまでもなく、夏目漱石の小説に登場する「坊っちゃん(明治39年)」のことですが、 本文中、軽便鉄道時代の伊予鉄道が「マッチ箱のような汽車」として登場しており、 ご当地松山の中学校に赴任する主人公の坊っちゃんがこれに乗ったことから、 坊っちゃん列車と呼ばれるようになった。というわけです。 もちろん当時の列車が走っているわけではありません。 当時の機関車「伊予鉄道甲一号形機関車」について、もう少し詳しく紹介しましょう。 1号機関車は、ドイツ クラウス社製のB形タンク機関車で、重量は6.81トン、動輪直径は685ミリしかありません。 京都梅小路にある蒸気機関車館のおチビさんB20形の半分ほどのサイズもありません。 それもそのはず、ゲージは762ミリの軽便鉄道です。 坊っちゃんが、利用したとされる高浜線は、戦前に改軌され電化もされましたが、 機関車たちは、軽便鉄道のままであった郡中線など他線で働き続けていました。 ふりかえれば、明治21年の営業開始から、 昭和29年のディーゼル化によって第一線を引退するまでなんと67年間ものあいだ走り続けたということになります。 市民の間から元祖「坊っちゃん列車」の愛称で親しまれていた彼らの存在は大きいものだったといえるでしょう。 だからこそ、復活運転が、望まれたわけです。 特に、観光の目玉を増やしたい観光関係者、特に道後温泉関係者にとっては重大関心事となりました。 しかし、道後温泉駅に至る路線は市内線。いわゆる路面電車です。 蒸気機関車には、煙が付きもので、市街地の大通りを、モクモクと煙をあげ、ススをまき散らして走るのでは、 いかに観光振興の大義名分があっても、これは困りものです。 かといって蒸気機関車として本格的な復元を望めば、郊外の鉄道線を走るしかありませんが、 これでは、観光の目玉にはなりません。 結局、伊予鉄道は、2001年にディーゼルエンジンを搭載した坊っちゃん列車の復元を発表、運行を開始しました。 なーんだ。ディーゼルかあ。と侮らないでください。 本物らしさを追求する思いは、なかなか気合いが入っています。 蒸気機関車らしさといえば、その排気音と汽笛ですが、 車輪の動きに連動するピストンのロッド先端部にセンサーを取り付け、それを感知して排気音を出すようにしました。 実際に乗車してみれば分かりますが、スピードに応じて見事に排気音が再現されています。 また、汽笛は同社OBの協力を得て、再現されました。 いくら同じSLでも、D51のような野太い音では、坊ちゃん列車には似つかわしくありません。 そして、SLにつきものの煙ですが、 「やっぱりなしというわけにもいかない。」と煙発生装置まで取り付けました。 問題となった煙です。当然のことながら、クリーンな煙となっています。 加湿器による水蒸気と、劇場などで使われる煙発生装置を併用しました。 このほか乗務員さんの制服も伊予鉄道創業時の制服を復元着用するなど、 当時を十分に偲ばせる本格的なものに仕上がっています。 さあ、「出発進行!」といきたいところですが、 そうは簡単にはいきません。 運行開始に際しては様々な難問が立ちはだかります。 難問その1 市内線を走るのはいいが、道路上、自動車は、うようよ走っています。 歩行者に対しても配慮しなければなりません。 対して、あのSLのボディーです。それはもう視界の悪さ天下一品!。 これをどうクリアするのか? 難問その2 機関車は、原則、列車の最前部に連結します。 つまり、機回し線が必要です。また、SLは、前後ろがあります。 方向転換するターンテーブルも必要です。 しかし路面電車が走る市内線にそんなもの存在するわけがありません。 難問その3 進路をどうコントロールするかという問題があります。 昔なら、交差点にポイントを切り替える操作室があって、人がそれを操作していました。 しかし、今は、電車が交差点に進入、停車するタイミングでポイントを切り替える操作を電車の運転手が自らするのです。 (よく分からないお方は「電車でGO!旅情編」をおためしあれ) これは、電車が、トロリー線と接触し位置情報を伝えているからこそできるワザです。 さあ、本物にこだわって作ったSLに、Zパンタを乗っけれますか…? それでは、解答です。 解答その1 小型CCDカメラを分からないようSLの前部に設置、運転室の液晶モニターで確認できるようにしました。 2001年のテクノロジーがなければ、これは解決しなかった? 解答その2 ターンテーブルの代わりに自らの車体をジャッキアップし、回転させる保線用モーターカーの方式を採用しました。 機回し線の問題については、方向転換した機関車の後に人力で客車を移動させるという 「マッチ箱のような汽車」ならではの方法で、これをクリアしました この一部始終については こちらを −→松山市駅前に於ける「坊ちゃん列車」の方向転換 画像が大きいのでウィンドウを最大にしてご覧ください。 右上の 次>> をクリックしていただきますとその経過をおわかりいただけると思います。 画像の下にも簡単に解説してあります。 解答その3 進路制御専用のパンタグラフを客車の屋根に設置、 走行中は目立たないように下げておき、 進路を切り替える交差点にきたときのみ、手動でこれを揚げ、 進路制御スイッチを動作させることにしました。 このように、あらゆる知恵をしぼって運転にこぎ着けた「坊っちゃん列車」 であるということをお見知りおきいただければ幸いです。 参考文献;鉄道ピクトリアル 新車年鑑 02 参考Webページ 伊予鉄道の公式HP−「坊っちゃん列車」に乗ろう!−
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