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−長崎電気軌道 700形(もと都電2000形)−1067mm→1372mm→1435mmと3種類の軌道上を走った電車
700形は、もと都電2000形(2018〜2022・2024)です。 1969年8月に長崎入りしました。 車体長に対して車体幅が細い為、非常にスマートに見えます。 スマートな車両というのなら、他にももっとすごいのがいるので、それが珍しいというわけではありません。 なにが珍しいのかをご紹介する前に、彼らが在籍した都電杉並線についてお話しします。 杉並線は、新宿と荻窪を結んでいた都電14系統の通称です。 正確には高円寺線(新宿駅前 - 高円寺一丁目)と荻窪線(高円寺一丁目 - 荻窪駅前)をあわせた路線ということになります。 さて、都電の軌間は1372mmといいたいところなのですが、この杉並線は1067mmです。 当然、他の路線の車両を走らせることはできません。 杉並線の専用車両が走っていました。2000形もそうです。 スマートだったのはこの軌間に由来するのですね。 では、なぜ1067mm軌間だったのか。と申しますと 杉並線は西武軌道線が大正年間に開業した路線で、 昭和17年、東京市(当時)が編入したものだったからです。 そういえば現存する都電・荒川線も元は王子電気軌道という路面電車でした。 東京市は戦時中、私鉄を次々と編入し路線を拡大していたのです。 さて杉並線は1963年に都電廃止第1号路線となってしまいました。 軌道となる青梅街道の交通渋滞が問題となっていたということもありますが、 1963年には営団地下鉄荻窪線(荻窪〜新宿間)が開通し社会的使命を終えたということになるでしょう。 1963年の廃線当時、さすがに西武軌道由来の車両は姿を消しており、 2000形(2001 〜24)と 2500形(2501〜08)が在籍していました。 前述したように2000形は杉並線用に、1951〜55年にかけ製造された12m級の車両です。 2000形には木造車を鋼体化したものと新製車の2通りがありますが、 車体そのものは新しく、又、ドアの明かり窓・蛍光灯・大型方向幕・ドアエンジンの採用と、当時としては近代的な車体でもありました。 まだまだ使えるので、杉並線廃止後は他の都電路線で運用されることになりました。 杉並線以外に1067mmの路線はありませんので、当然、1372mm軌間に改造されました。 しかし、その後都電は路線を縮小、小型で異端車である2000形は淘汰されることになりました。 そんな2000形のうち2018〜22・24の6両が1969年に長崎電気軌道に譲渡されルことになったのです。 これが長崎電気軌道700形です。 ところが長崎電気軌道は1435mm軌間です。 これまた改軌しないわけにはゆきません。 つまり長崎電気軌道700形は、1067mm→1372mm→1435mmと3種類の軌道上を走った珍しい車両となるのです。 台車を交換することなく、改造するだけで対応したというのもすごいですね。 逆だったらあり得ないでしょう。 その後、ワンマン化工事、塗装変更なども実施されましたが基本的なところは何も変わっていません。 冷房化されず夏場に活躍することが少なかったということもあるかもしれませんが、 700形は長崎で永く愛され、2015年、還暦を迎えることになります。 イベント用の保存車という位置づけですが、黄色い都電塗装に装いを改めた700形は撮影会などでは人気者となっているようで、 その存在感は、光っています。 願わくは、1067mm→1372mm→1435mmと3種類の軌道上を走ったという希少な存在であることに思いを馳せながら シャッターを切ってやっていただけたらと思います。 参考文献 鉄道ピクトリアル 特集 路面電車 1976年/1994年/2000年/2011年版 No319/593/868/852 |
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